医療現場での気づきが教えてくれた事業案

─ 診療室から生まれた新しい事業の可能性 ─

はじめに

対人援助・医療従事者の皆さんは、日々、人々のために全力を尽くされています。その情熱と献身的な姿勢は、かけがえのない価値を生み出しています。

そして多くの方が、「もっと多くの人の役に立ちたい」「この経験を別の形でも活かせたら」という純粋な思いを持っているのではないでしょうか。それは、決して無理をしてでも実現すべきことではありません。

むしろ、日々の実践の中で自然と湧き上がってくる「こんな方法があったら、もっと多くの人を助けられるのに」という優しい発想こそが、新しい事業価値を生み出す源泉なのです。

医療システムの中での気づき

時間という制約との出会い

医療現場には、避けられない時間的制約があります。診療報酬の引き下げにより、多くの医療機関では患者数を1.5倍から2倍に増やすことを求められています。その結果、一人一人の患者さんと十分な時間を取ることが、システム上難しい状況が生まれています。

多くの対人援助・医療従事者の方々が「もっと時間をかけて関われたら」という思いを抱えているのではないでしょうか。しかし、現状の医療システムの中では、その思いを実現することは簡単ではありません。

だからこそ、副業という形で新しい可能性を探ることが必要になってきます。それは、医療現場では制限されてしまう「時間」という資源を、別の形で確保する試みとも言えるでしょう。

アメリカからの帰国後の決断

私がアメリカから帰国して間もない頃、このジレンマに直面しました。スポーツリハビリテーション外来を立ち上げ、遠方から新幹線や飛行機を使って来院されるアスリートの方々と関わる中で、十分な時間を確保することの重要性を痛感したのです。

予想外の展開

診療を進めていく中で、私の前に座る患者さんたちが求めていたものは、意外にもシンプルでした。それは最新の検査機器でも、先端的な再生医療でもありませんでした。スポーツや健康の専門医と「じっくりと相談する時間」。それこそが、彼らが本当に必要としていたものでした。

気づきから事業のタネが生まれるまで

診療室での発見

日々の診療の中で、徐々に見えてきたことがありました。私の前に座る患者さんたちは、単なる治療や処置以外のものを求めていたのです。

全国トップレベルの学生選手は「実は部活に行きたくない」と打ち明けてくれます。プロ選手は「次の契約更新が怖い」という不安を語ります。そこには医学的な症状だけでなく、人生の岐路に立つ一人の人間としての悩みがありました。

これらの声を聴いているうちに、私の中で一つの考えが形になっていきました。「もしかしたら、スタンフォード大学の部活運営を見たり、プロ選手と関われる医療者だからこそ、もっと違う形の支援ができるのではないか」と。

アイデアが形になっていく過程

その気づきは、自然な流れで具体的な形を見せ始めました。診療時間を十分に確保し、じっくりと話を聴く。その過程で、患者さんの表情が変わっていく。肩の力が抜け、時には涙を流しながら、本当の思いを語ってくれる。

そんな経験を重ねる中で、「医療者を超えたコーチとして提供できる新しい価値」が見えてきたのです。それは、医学的な治療に加えて、人生の伴走者としての役割。この気づきは、後の事業展開の重要な種となりました。

新しいサービスの誕生

こうして自然な形で生まれたのが、現在クリニックで提供している「じっくり時間をかけた面談」というサービスです。既存の医療システムでは実現が難しかった、十分な時間の確保を、事業という形で実現することができました。

保険診療の枠を超えて、お一人お一人の希望する時間で予約をお受けする。一見シンプルなこの仕組みは、実は多くの方が求めていたものだったのです。誰にも打ち明けられなかった心の内を、丁寧に、そして優しく見つめていく。その過程で、まるでスキージャンプ台から飛び立つように、大きな発展が見られることが少なくありません。

事業としての広がり

このサービスは、「Dr.EKOとの好きなだけ面談」というメニューとして確立されました。それは決して机上の空論から生まれたものではなく、日々の診療での気づきが、副業という形を通じて自然に結実したものでした。

時間的制約のある医療現場だからこそ、それを補完する形での新しい事業展開が可能になる。この経験を通じて私が学んだことは、新しい事業のアイデアは、日々の実践の中での制約や課題に対する解決策として、自然と存在しているということです。

気づきから生まれた新しい可能性

医療者だからこそできること

この経験を通じて、医療者という立場だからこそできる貢献の形が見えてきました:

- 安心できる対話の場の提供

- 医学的知識に裏付けられた助言

- 専門家としての客観的な視点

- 人としての温かい理解

- 新しい可能性の発見

- 従来の診療の枠を超えた関わり

- 時間という贅沢な資源の活用

- 患者さんの人生に寄り添う喜び

「Dr.EKOとの好きなだけ面談」の誕生

こうして、私のクリニックならではのサービスメニューが確立されていきました。保険診療ではカバーできない、でも確かに必要とされている支援の形。それは、日々の診療での気づきが、自然な形で結実したものだったのです。

おわりに:医療の新しい可能性に向けて

時には既存の枠組みに挑戦することも、より良い医療を提供するための一歩となり得ます。重要なのは、その挑戦が無理のない、自然な形で行われること。そして何より、医療者としての純粋な思いから生まれてくることなのではないでしょうか。

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